2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

生体エネルギー学の臨床(14) インスリン抵抗性の原因はPUFAとストレス

PUFAがインスリン抵抗性の主因であることは間違いない。ミトコンドリアにおける脂肪酸酸化の増加による還元ストレスの増加(NAD/NADH比の低下)、酸化的リン酸化の抑制、プロスタグランジンや過酸化代謝物による炎症反応、エストロゲンやコルチゾール様の内…

生体エネルギー学の臨床(13) グリシン、タウリン、テアニンについて

グリシン グリシンは抑制系神経伝達物質である。ブドウ糖はグリシン受容体アゴニストである。大量の糖を摂ると眠くなるのはグリシン受容体を通して脳を抑制するからである。また、グリシンはGABAアゴニストでもある。GABAアゴニストはコルチゾールを低下させ…

生体エネルギー学の臨床(12)  アスピリンについて

古代ギリシャ・ローマの時代から、柳の樹皮に解熱作用のあることは知られていた。19世紀にはサリチル酸が分離され、解熱鎮痛剤として使用された。1897年、バイエル社はサリチル酸をアセチル化することで胃腸障害の少ないアセチルサリチル酸(アスピリン)を…

生体エネルギー学の臨床(11) ナイアシナミド(ニコチン酸アミド、ニコチンアミド)について

ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)は、生体の全ての細胞に存在する普遍的な電子輸送体、補酵素、シグナル伝達分子で、細胞の機能と生存に不可欠である。 NAD+はナイアシナミド(NAM)より合成され、NAD/NADH比を増加することで、酸素呼吸(酸化…

生体エネルギー学の臨床(10) ビタミンB群について

B1(サイアミン) B1はDCA(ジクロロ酢酸)の様にPDKを阻害してPDHを活性化し、糖代謝を促進し、乳酸を減らす。果糖もPDHを活性化する。B1欠乏は乳酸を増加(ワーバーグ効果)し、がんの原因となる。B1はアセタゾラミドの様に炭酸脱水酵素(CA)を阻害してCO…

生体エネルギー学の臨床(9) 脂溶性ビタミンについて

ビタミンD(VD) VDはグルココルチコイド受容体(GR)とエストロゲン受容体(ER)アンタゴニストで、アロマターゼインヒビター(AI)である。また、VDはエンドトキシンとTLR4のアンタゴニストで、TPHを抑制しセロトニン合成を減らす。VD、E、K、Aは全てドー…

生体エネルギー学の臨床(8) セロトニンについて

セロトニンの95%は腸管のクロム親和性細胞により合成され、主に腸の蠕動運動亢進に働く。セロトニンの合成は、TLR2受容体を介して、腸内細菌により完全にコントロールされている。セロトニンは酸化的リン酸化の抑制により代謝を低下させ、肥満や2型糖尿病な…

生体エネルギー学の臨床(7) アンドロゲンについて

アンドロゲンはアナボリックで代謝を増やし、炎症と細胞増殖を抑制し、免疫力を上げ、 寿命を延ばし、認知機能を改善する。性腺の活性は甲状腺の活性と高く相関する。ストレス、トラウマ、放射線、内分泌異常、エンドトキシン、SSRI、PPI、スタチン、PUFA、N…

生体エネルギー学の臨床(6) プレグネノロン、プロゲステロンについて

ステロイド産生 コレステロールからプレグネノロンへの変換は全ての細胞のミトコンドリア内で生じ、甲状腺ホルモンが刺激する。老化でコレステロールが増加するのはステロイド産生低下による。老化でプレグネノロン、プロゲステロン、DHEAが低下するが、コル…

生体エネルギー学の臨床(5)エストロゲンについて

2002年のWHI試験で、ホルモン補充療法(HRT)は乳がんリスクを26%上昇させた。閉経でエストロゲンの総量(E1+E1S+E2+E3)は増加している。E2(エストラジオール)ではなく、プロラクチンとE1S(エストロン硫酸)による評価が必要である。乳がんはアロマター…

生体エネルギー学の臨床(4)コルチゾールについて

コルチゾールは副腎皮質から分泌される生命維持に欠かせないホルモンである。主な働きは、抗ストレス作用(闘争か逃走)、糖新生(筋肉タンパク質をアミノ酸に分解し、肝臓でブドウ糖を合成)、脂肪分解(エネルギー供給)、抗炎症作用・免疫抑制作用である…

生体エネルギー学の臨床(3)エンドトキシンの問題点

エンドトキシン(内毒素)は、グラム陰性菌が死んで溶菌する時に遊離される外膜の構成成分LPS(リポポリサッカライドまたはリポ多糖)のことを言う。 エンドトキシンは腸管によるセロトニンとNOの合成を促進し、自然免疫細胞であるマクロファージや樹状細胞…

生体エネルギー学の臨床(2)PUFAの問題点

PUFA(多価不飽和脂肪酸)はエストロゲンアゴニスト(作動性)でアンドロゲン/プロゲステロンのアンタゴニスト(拮抗性)である。不飽和度が強いほどその効果が強く、ω3脂肪酸(EPA/DHA)は最もアンドロゲンを抑制する。PUFAとMUFA(一価不飽和脂肪酸)は5-A…

生体エネルギー学の臨床(1)概要

Bioenergeticsでは、「細胞(生体)の構造と機能はエネルギーに依存する」と考える。私たちの健康は、食事(炭水化物、タンパク質、脂肪)から如何にエネルギーを産生するかに依存する。 私たちは主に糖か脂肪酸を代謝(酸化)してエネルギー源とする。糖は…