2021-12-01から1ヶ月間の記事一覧

免疫を支えるビタミンDのその他の重要な機能

1)ビタミンDはTh1細胞の産生を減らす。それにより、炎症性サイトカインの産生を減らし炎症の進行を抑制する。(Palmer M.T., J. Biol Chem. 2011))*Th1細胞はヘルパーT細胞の亜型 2)ビタミンDは制御性T細胞の分化を促進させる。それにより、サイトカ…

ビタミンDとレニン・アンジオテンシン系の相互関係

レニン・アンジオテンシン系(RAS)は血圧を調節するために血液量と体血管抵抗を調整する重要な働きをする。アンジオテンシンIIとアンジオテンシン(1-7)はRASを正しく機能させるために非常に重要な因子である。(Simko F., Int. J. Mol. Sci. 2021) アン…

ビタミンD3の代謝経路

7-デヒドロコレステロールは紫外線により皮膚でビタミンD3(コレカルシフェロール)となる。ビタミンD3は2つのヒドロキシル化(水酸基 -OH の導入)を経て活性化される。まず、ビタミンD3は肝臓で、25-ヒドロキシラーゼにより25(OH)D3(カルシジオール)と…

コレステロールが高いと総死亡率が下がる(観察研究)

2011年、ノルウエーのHUNT2スタディーが最も新しいので紹介します。ノルウエー人52 087人 (男性24 235 、女性 27 852 ) 20-74歳の心筋梗塞、狭心症、脳卒中の既往のない人が対象で観察期間は10年に及びます。結果は、コレステロール増加に伴い、女性では死亡…

コレステロールが高いと総死亡者数は減る

同様に、グラフは世界保健機構(WHO)のデータから192ヶ国の総コレステロール値と総死亡者数の関係を調べたものですが、コレステロール値と総死亡者数に関連を認めません。相関係数も高くなり、男性も女性も右肩下がりに見えます。他の観察研究(ホノルルスタ…

コレステロールが高いと心筋梗塞は減る?!

グラフは世界保健機構(WHO)のデータから192ヶ国の総コレステロール値と心筋梗塞患者数の関係を調べたものですが、コレステロール値と心筋梗塞死亡者数に関連を認めません。ばらつきは多いですが、男性は横ばい、女性は右肩下がりに見えます。少なくとも正の…

人間は肉食である

一つの種の全ての動物は同じ食べ物を食べる様にデザインされている。ウサギは草を食べ、ライオンはシマウマを食べる。ホモ・サピエンエンスである人間だって同様に、同じ食べ物を食べる様にデザインされているはずである。 野生の動物も原始的な狩猟採集民族…

コレステロールと心筋梗塞死は関連しない

グラフはMONICA試験14か国にマルコム・ケンドリックがオーストラリアのアボリジニを加えたものです。 コレステロールが高い順に左から右に並べましたが、心筋梗塞死は同様に右肩上がりにはならず、正の相関は認められません。 コレステロールの最も低いアボ…

糖質制限食によるLDLコレステロールの増加:Lean Mass Hyper-Responderの証明

糖質制限食による LDLコレステロール(以下LDL)の変化は均一ではない。糖質制限食(130g/日以下)を続けた597人でBMIと脂質マーカーとの相互関係を調べたところ、BMIはLDLの変化と逆相関した。また、健康な代謝のマーカーであるTG/HDL比の減少はLDLの増加を…

米国大人の半分が代謝異常

米国の大人の肥満(BMI>30)の20%には全く病気がありません。一方、正常体重(残り)の40%に、高血圧、糖尿病、脂質異常、心筋梗塞、脳卒中、認知症、がんなどの慢性疾患を認めます。米国大人の半分に代謝機能異常を認めることになります。これらの慢性疾患の…

飽食の後に飽食が続いたら・・

食べ物の少ない冬に備えて動物たちが肥満となるのは、脂肪と言う良質なエネルギーを身体に貯蔵するためです。実りの秋に炭水化物を大量に摂取すると、大量のインスリンが分泌され、同時にインスリン抵抗性が生じます。しかし、それにより過剰に摂取した糖か…

肉食で行こう!

肉食ダイエットは植物食を一切摂らない、糖質ゼロのダイエットである。肉は全ての栄養素が含まれているだけでなく、植物食の様に私たちに有害な物質や抗栄養素が含まれていないので、生物学的利用率が高くとても合理的である。また、メニューや調理をあれこ…

高血糖から細胞を防御するメカニズム

肥満は、新生した脂肪を肥満細胞に貯蔵することで、肝臓内での過剰なde novo lipogenesis (DNL:新規脂肪酸合成)を避けようとします。脂肪が脂肪細胞に貯蔵されれば、代謝障害は生じません。脂肪が臓器(肝、膵、筋肉など)に蓄積すると、代謝障害(メタボ…