HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)は動脈硬化症に対する画期的な薬として普及し、世界中で処方され、その効能を疑問視する人は極めて少ない。スタチンには、処方の多い順に、クレストール(ロスバスタチン)、リピトール(アトロバスタチン)、リバロ(ピタバスタチン)などがある。
しかし、スタチンはメバロン酸合成を阻害することで、コレステロールだけでなく、CoQ10とビタミンK(VK)の合成も阻害する。電子伝達系の構成成分の一つであるCoQ10の欠乏は、ミトコンドリアにおける酸化代謝を低下させ、ATP産生量を減らす。VKの欠乏は軟部組織の石灰化を引き起こす。CoQ10とVK欠乏だけでなく、薬物によるCoQ10阻害(ロテオン)、VK阻害(ワーファリン)でも同様な結果を得ている。
CoQ10とVK欠乏による陰性効果はスタチンでも確認されており、CoQ10またはVKの補充によるスタチンの副作用の軽減が示されている。2022年の研究では、スタチンによる炎症の拡大が血管の石灰化と心血管疾患の主な要因であるとする知見が新たに示された。
スタチンは動脈硬化症、心血管疾患、心不全の原因となる。多くの医師がこの事実を知らずに処方しており、その処方に合理性はない。
参考論文
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1586/17512433.2015.1011125
- 低ATPによる心筋収縮力の低下は心不全を予見する
https://www.cell.com/biophysj/fulltext/S0006-3495(22)00602-6
- スタチンの有害作用はCoQ10サプリとスタチン中止で治療できる
https://iubmb.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/biof.5520250116
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21603349/
- 心機能を支える栄養としてVK2は重要である
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32549853/
- スタチンと血管石灰化とVKの関係
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/kjm2.12373
- スタチンによるマクロファージのRac1調節障害は粥状動脈プラークの石灰化を引き起こす