GABA(γアミノ酪酸)を増やそう!

GABA(γアミノ酪酸)は、脳、脊髄から放出される抑制性神経伝達物質です。GABA受容体に結合して、神経細胞内に塩化物イオン(Cl-)を流入させて、神経活動を抑制(過分極)します。鎮静、抗けいれん、抗不安、抗ストレス効果があり、自閉症、うつ、不安、不…

当院で糖尿病治療を希望される患者様へ

糖尿病はインスリンが十分に働かないことにより慢性的に血糖が高くなる病気です。糖質制限は、3大栄養素のうち唯一血糖を上げる炭水化物(糖質)を制限することで、薬なしでも血糖コントロールが可能とする食事療法です。確かに炭水化物を摂取しなければ血糖…

2023年、年末のご挨拶

今年の正月に、たまたま目にしたMercola医師とGeorgi Dinkov氏との対談記事を読んで、代謝の基礎知識を根底から覆されてしまいました。マジか?と、心臓がバクバクして、汗が止まらなくなり、姿をくらましたい気持ちになったことを、昨日の事の様に覚えてい…

スタチンは心血管疾患の原因となる

HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)は動脈硬化症に対する画期的な薬として普及し、世界中で処方され、その効能を疑問視する人は極めて少ない。スタチンには、処方の多い順に、クレストール(ロスバスタチン)、リピトール(アトロバスタチン)、リバロ(ピタ…

ゼラチン/グリシンは健康に欠かせない

コラーゲンは体のタンパク質のおよそ30%を占めます。コラーゲンは、皮膚、骨、腱、靭帯、軟骨、血管などの細胞外基質の主成分で、組織構造の骨組みとなり、強度を維持しながら伸縮を可能にしますが、加齢に伴い低下します。 コラーゲンを加熱変性したものが…

生体エネルギー学の臨床(17) 全ての腸内細菌には病原性がある

病原性に多少の差異があるだけで、腸内細菌に善玉も悪玉もない。どんな細菌も増殖すれば害をなすので、可能な限り少ないのが望ましい。 腸内細菌は水溶性線維を発酵し、エネルギーが豊富な酪酸などの短鎖脂肪酸(SCFA)を産生する。SCFAは肝臓に到達すると脂…

オレンジジュースを飲もう!

炭水化物をご飯やパンなどのでんぷんではなく、果物やオレンジジュースなどの糖類で摂ることをお勧めします。なぜなら、糖類は消化吸収が良く、ビタミン・ミネラルが豊富で、腸内細菌を増やさず、反栄養素を認めないからです。さらに、オレンジには健康増進…

生体エネルギー学の臨床(16) カフェインについて

カフェインはメチルキサンチン誘導体の一つで喘息治療薬テオフィリンに類似する。カフェインの主な作用には、覚醒、強心性、脂肪酸分解、脳細動脈収縮、利尿などがある。カフェインは肝臓の代謝酵素CYP1A2で代謝され、最終的に尿酸となり排泄される。ニコチ…

害をなさず

酒にもゴルフの誘惑にも負けず毎日コツコツと勉強するドグマを盲従することはせず皆に阿保と蔑まれても真実を追い求め決して知ったかぶりをしないPUFAを排除し砂糖の摂取を恐れず ストレスを鎮めて睡眠を重んじ 筋肉を鍛えて健康なからだをつくる薬の処方は…

生体エネルギー学の臨床(15) 肥満・糖尿病の食事療法

デンマークの観察研究でBMI(Body Mass Index)27の過体重で最も総死亡率が低く、BMI30以上の肥満の総死亡率もBMI18.5-25の正常枠と変わらなかった(肥満パラドックス)。また、2型糖尿病治療で血糖降下剤(インスリンも含む)による血糖正常化の安全性を確…

生体エネルギー学の臨床(14) インスリン抵抗性の原因はPUFAとストレス

PUFAがインスリン抵抗性の主因であることは間違いない。ミトコンドリアにおける脂肪酸酸化の増加による還元ストレスの増加(NAD/NADH比の低下)、酸化的リン酸化の抑制、プロスタグランジンや過酸化代謝物による炎症反応、エストロゲンやコルチゾール様の内…

生体エネルギー学の臨床(13) グリシン、タウリン、テアニンについて

グリシン グリシンは抑制系神経伝達物質である。ブドウ糖はグリシン受容体アゴニストである。大量の糖を摂ると眠くなるのはグリシン受容体を通して脳を抑制するからである。また、グリシンはGABAアゴニストでもある。GABAアゴニストはコルチゾールを低下させ…

生体エネルギー学の臨床(12)  アスピリンについて

古代ギリシャ・ローマの時代から、柳の樹皮に解熱作用のあることは知られていた。19世紀にはサリチル酸が分離され、解熱鎮痛剤として使用された。1897年、バイエル社はサリチル酸をアセチル化することで胃腸障害の少ないアセチルサリチル酸(アスピリン)を…

生体エネルギー学の臨床(11) ナイアシナミド(ニコチン酸アミド、ニコチンアミド)について

ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)は、生体の全ての細胞に存在する普遍的な電子輸送体、補酵素、シグナル伝達分子で、細胞の機能と生存に不可欠である。 NAD+はナイアシナミド(NAM)より合成され、NAD/NADH比を増加することで、酸素呼吸(酸化…

生体エネルギー学の臨床(10) ビタミンB群について

B1(サイアミン) B1はDCA(ジクロロ酢酸)の様にPDKを阻害してPDHを活性化し、糖代謝を促進し、乳酸を減らす。果糖もPDHを活性化する。B1欠乏は乳酸を増加(ワーバーグ効果)し、がんの原因となる。B1はアセタゾラミドの様に炭酸脱水酵素(CA)を阻害してCO…

生体エネルギー学の臨床(9) 脂溶性ビタミンについて

ビタミンD(VD) VDはグルココルチコイド受容体(GR)とエストロゲン受容体(ER)アンタゴニストで、アロマターゼインヒビター(AI)である。また、VDはエンドトキシンとTLR4のアンタゴニストで、TPHを抑制しセロトニン合成を減らす。VD、E、K、Aは全てドー…

生体エネルギー学の臨床(8) セロトニンについて

セロトニンの95%は腸管のクロム親和性細胞により合成され、主に腸の蠕動運動亢進に働く。セロトニンの合成は、TLR2受容体を介して、腸内細菌により完全にコントロールされている。セロトニンは酸化的リン酸化の抑制により代謝を低下させ、肥満や2型糖尿病な…

生体エネルギー学の臨床(7) アンドロゲンについて

アンドロゲンはアナボリックで代謝を増やし、炎症と細胞増殖を抑制し、免疫力を上げ、 寿命を延ばし、認知機能を改善する。性腺の活性は甲状腺の活性と高く相関する。ストレス、トラウマ、放射線、内分泌異常、エンドトキシン、SSRI、PPI、スタチン、PUFA、N…

生体エネルギー学の臨床(6) プレグネノロン、プロゲステロンについて

ステロイド産生 コレステロールからプレグネノロンへの変換は全ての細胞のミトコンドリア内で生じ、甲状腺ホルモンが刺激する。老化でコレステロールが増加するのはステロイド産生低下による。老化でプレグネノロン、プロゲステロン、DHEAが低下するが、コル…

生体エネルギー学の臨床(5)エストロゲンについて

2002年のWHI試験で、ホルモン補充療法(HRT)は乳がんリスクを26%上昇させた。閉経でエストロゲンの総量(E1+E1S+E2+E3)は増加している。E2(エストラジオール)ではなく、プロラクチンとE1S(エストロン硫酸)による評価が必要である。乳がんはアロマター…

生体エネルギー学の臨床(4)コルチゾールについて

コルチゾールは副腎皮質から分泌される生命維持に欠かせないホルモンである。主な働きは、抗ストレス作用(闘争か逃走)、糖新生(筋肉タンパク質をアミノ酸に分解し、肝臓でブドウ糖を合成)、脂肪分解(エネルギー供給)、抗炎症作用・免疫抑制作用である…

生体エネルギー学の臨床(3)エンドトキシンの問題点

エンドトキシン(内毒素)は、グラム陰性菌が死んで溶菌する時に遊離される外膜の構成成分LPS(リポポリサッカライドまたはリポ多糖)のことを言う。 エンドトキシンは腸管によるセロトニンとNOの合成を促進し、自然免疫細胞であるマクロファージや樹状細胞…

生体エネルギー学の臨床(2)PUFAの問題点

PUFA(多価不飽和脂肪酸)はエストロゲンアゴニスト(作動性)でアンドロゲン/プロゲステロンのアンタゴニスト(拮抗性)である。不飽和度が強いほどその効果が強く、ω3脂肪酸(EPA/DHA)は最もアンドロゲンを抑制する。PUFAとMUFA(一価不飽和脂肪酸)は5-A…

生体エネルギー学の臨床(1)概要

Bioenergeticsでは、「細胞(生体)の構造と機能はエネルギーに依存する」と考える。私たちの健康は、食事(炭水化物、タンパク質、脂肪)から如何にエネルギーを産生するかに依存する。 私たちは主に糖か脂肪酸を代謝(酸化)してエネルギー源とする。糖は…

生体エネルギー学(3)

Georgi Dinkovの3年分のブログ記事650件(1000件を超える参考文献)をようやく読み終えることが出来ました。「全ての疾患は細胞のエネルギー不足が原因である」とする生体エネルギー学を3か月間検証し、その論理性に矛盾がない事を確認できたので、当院の治…

生体エネルギー学(2) 慢性疾患の治療

血中遊離脂肪酸(FFA)の上昇は肥満、2型糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、心脳血管疾患、がんなどで増加している。(Morigny P, Biochimie. 2016)脂肪細胞の肥大、副腎ホルモン、生理的ストレス(絶食・運動)などにより、脂肪組織の脂肪分解…

生体エネルギー学

人体が機能と構造を維持するためにはエネルギーが必要であり、食事(炭水化物、タンパク質、脂肪)から如何にエネルギーを害なく得るかを研究するRay Peat博士の生体エネルギー学(Bioenergetics)を偶然知りました。彼の考えを批評解説するGeorgi Dinkovの…

LDL-Cが高いと悩む前に

「コレステロール、特にLDL-Cが粥状動脈硬化症を引き起こし、全ての原因による死亡率と心血管疾患死亡率を増加させる」とするコレステロール仮説が大勢を占めるが、60歳以上の人のLDL-Cと全ての原因による死亡率との関連を調べたコホート試験のシステマティ…

ブテイコ呼吸法のすすめ(2)

ブテイコ呼吸法は次の三つからなります。 鼻呼吸、②少量呼吸法、③リラクセーション 鼻呼吸:寝ている時も起きている時も常に鼻呼吸を原則とします。空気抵抗の少ない口呼吸は過換気の原因となりやすいからです。加温・加湿・除菌された空気の出入りは気道を…

ブテイコ呼吸法のすすめ(1)

ロシア(当時ソ連)のブテイコ医師は、隠れた慢性的な過換気が心身を不調にする主な原因であり、世界中に蔓延していると考えました。ブテイコ呼吸法は「過換気と低炭酸ガス血症が多くの病態を悪化させる」とする病気の二酸化炭素仮説を根底とするもので、そ…