生体エネルギー学の臨床(9) 脂溶性ビタミンについて

ビタミンD(VD)

VDはグルココルチコイド受容体(GR)とエストロゲン受容体(ER)アンタゴニストで、アロマターゼインヒビター(AI)である。また、VDはエンドトキシンとTLR4のアンタゴニストで、TPHを抑制しセロトニン合成を減らす。VD、E、K、Aは全てドーパミン性で代謝を増加する。また、VDはNOを減らしNF-kB発現を低下させ炎症を抑制する。また、VDはVKと共に骨ホルモンであるオステオカルシンの合成を促進する。VDは骨吸収を促す副甲状腺ホルモン(PTH)を抑制し、骨形成を促進する。さらに、VDはプロゲステロン、DHEA、T/DHTの合成を促進し、アンドロゲン(DHT、アンドロステロン)のグルクロン酸抱合による分解を防ぐ。

コレカルシフェロール(VD3)(25(OH)D3)はアナボリックであるが、カルシトリオール(1.25(OH)2D3)はカタボリックである(コルチゾールを増やす)。25OHD3の半減期はおよそ1日。VD2はD3の30%の効果しかなくCKD、高Caのリスクがあり、免疫能を改善しない。

VDはうつ、双極性障害ADHD自閉症片頭痛てんかん認知症、末梢神経障害、脱髄疾患インスリン抵抗性、肥満、2型糖尿病動脈硬化症、高血圧、心房細動、心不全、アレルギー、喘息、炎症性疾患、骨粗鬆症、風邪、インフルエンザ、肝線維症、肝がん、胃/大腸がんなどに有効。

 

ビタミンK(VK2:MK-4)

VKはAIでエストロゲン合成を抑制する。VKは酸化的リン酸化を促進する。VKはオステオカルシンの合成を促進し、骨の恒常性維持、膵臓β細胞のインスリン産生と脂肪細胞のアディポネクチン産生を促進し、精巣ライディッヒ細胞のテストステロン合成を促進し、骨格筋を増やし筋肉内のエネルギー利用効率を高める。

VKだけが副作用なし。VEの出血をVKが抑制。VDの高CaをVAが抑制。VAの毒性をVEが抑制。VKはアスピリンの出血リスクを減らす。MK-7(納豆)の効能は不明。

老化でK1→K2の変換は非常に遅くなる。K2はCVD、死亡率を減らすが、K1は減らさない。VKはRA、高血圧、貧血(エリスロポエチン増加)、異所性石灰化に有効。

 

ビタミンE(VE)

VE(αトコフェロール)はERアンタゴニストでAIでPUFAアンタゴニストである。VEは酸化的リン酸化を促進する。VEは運動による筋肉損傷を減らす。VEはリポフスチン(リソソームに形成される過酸化脂質の残余物)形成を予防除去し、フェロトーシス(鉄に依存した過酸化脂質蓄積によるプログラム細胞死)を予防する。VEはリーキーガットを治療し、エンドトキシンとエストロゲンによる全ての肝疾患を治療する。VEは喘息を予防治療する。VEは肺炎、ウイルス感染症を予防する。VEは脳下垂体のゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)を増やしテストステロンを増やす。VE500U以上はVKの吸収を阻害する(VKはVEと分子構造が相似)。

 

ビタミンA(VA)

VAは11b-HSD1を抑制しコルチゾール合成を減らす。VAはAIである。VAはテストステロン合成を促進し、5-ARを活性化してDHTを増やす。また、VAはエンドトキシンとTLR4のアンタゴニストである。持続的VAは甲状腺機能を低下させ、胃酸を低下し、腸内細菌を増やすのでVEとの併用がお勧め。

レチノールの活性体がレチノール酸。チョコラA(レチノールパルミチン酸エステル)はプロドラッグで10%がレチノール酸になる。VAの有毒性は誇張されている。50万単位数か月使用でも毒性徴候なし。主な副作用は乾皮症と口唇炎。VA10万単位以上の毒性はVEが減らす。VAはVDによる高Ca血症をブロックする。D:A=1:5が目安。VAは2型糖尿病白血病、肝がんなどを治療する。

 

注)参考文献を確認したい方は、Ray Peat Forum(https://raypeatforum.com/community/)でキーワード検索してください。(例えば、Haidut, vitamin d, cortisol)HaidutはGeorgi Dinkovのペンネームです。