生体エネルギー学の臨床(8) セロトニンについて

セロトニンの95%は腸管のクロム親和性細胞により合成され、主に腸の蠕動運動亢進に働く。セロトニンの合成は、TLR2受容体を介して、腸内細菌により完全にコントロールされている。セロトニンは酸化的リン酸化の抑制により代謝を低下させ、肥満や2型糖尿病など様々な疾患の原因となる。腸内細菌が少ないほど、セロトニンレベルは低下し、代謝が増加し、健康になる。5-HT3アンタゴニスト、セロトニン合成酵素(TPH)インヒビター、抗菌薬、活性炭、TLR2/4アンタゴニストは代謝異常を改善する。メカニカルストレス(ランなど)はセロトニン合成を刺激する。セロトニン血液脳関門を通過しないが、迷走神経を通じ脳に影響する。抹消セロトニンによるセロトニン症候群は精神錯乱や他の脳神経症状を起こす。

脳内セロトニンは脳幹の縫線核で合成され、脳に取り込まれるトリプトファンの量に依存する。トリプトファンは血中でアルブミンと結合して運搬されるが、同様にアルブミンに結合する脂肪酸の増加により、血中に遊離するトリプトファンが増加する。また、脳がアミノ酸を取り込む際、分枝鎖アミノ酸(BCAA)はトリプトファンと拮抗する。脳内セロトニン低下のためには、トリプトファン摂取を減らし、BCAAやタンパク質の摂取を増やし、ドーパミンの元になるチロシンフェニルアラニンの摂取を増やし、PUFAを避け、絶食、耐久性運動を避ける必要がある。

ストレスはセロトニンを増やしドーパミンを減らす。ドーパミンはTPHを抑制する内因性セロトニンアンタゴニストで、セロトニンドーパミンの合成を減らす。また、セロトニンは5-HT2C受容体を通してACTHを活性化しコルチゾール合成を増やし、アロマターゼとしてエストロゲンを増やす。また、セロトニンは5-HT3受容体を通してエンドトキシンによるTLR4の活性化し、エンドトキセミアによる様々な疾患の原因となる。アルコールと麻薬は5-HT3アゴニストである。また、セロトニンは5-HT2B受容体を介しては線維化を促進する。また、セロトニンはオートファジーを傷害し、免疫能を低下させ、がん発症の原因となる。セロトニンによる脳のミトコンドリア機能障害はうつ、統合失調症などの精神病やパーキンソン病アルツハイマー病などの神経変性疾患の原因となる。

セロトニンは人をプロトコール様思考に陥らせて、従順なゾンビを作り出す。選択的セロトニン再取り込み阻害薬SSRI)はセロトニントランスポーター(SERT)を抑制することで脳内セロトニンを増加させる。抗うつ剤として最も処方量が多い薬だが、うつを改善しないどころか、アンヘドニア(何も楽しめない)を悪化させる。SSRIは知性と共感を損なわせ、暴力的にする。実際、SSRIは多くの殺人事件(銃乱射事件を含む)に関与している。成功した全ての抗うつ剤はアロプレグナノロンの増加、または、5-HT2C受容体アンタゴニストでコルチゾールの低下によるものであり、セロトニンの増加によるものではない。「幸せホルモン」として名高いセロトニンは、私たちの健康を害する危険なホルモンである。

 

セロトニンアンタゴニストでドーパミンアゴニスト:LSD、リスリド、ケタミン、ブロモクリプチン、カフェインなど

SERTアクチベーター:チアネプチン、塩、亜鉛など

SERTインヒビター:アラキドン酸、SSRIなど

5-HT2Aアンタゴニスト:トラゾドン、リタンセリンなど

5-HT2Bアンタゴニスト:カフェイン、リスリドなど

5-HT3アンタゴニスト:オンダンセトロン、プリンペラン、アロプレグナノロンなど

TLR2アンタゴニスト:ケトフェチン、シプロヘプタジン、プレグネノロンなど

5-HT7アンタゴニスト:ブロモクリプチン、リスリド、メテルゴリンなど

5-HT7アゴニスト:コカインなど

TPHアクチベーター:アセトアミノフェン、鉄、VC、還元型グルタチオンなど

TPHインヒビター:ドーパミンドーパミンアゴニスト、キニン、VB1など

セロトニン効果:ファモチジンアスピリン、ナイアシナミド、VB2(MAO-A活性化)など

 

注)参考文献を確認したい方は、Ray Peat Forum(https://raypeatforum.com/community/)でキーワード検索してください。(例えば、Haidut, serotonin, depression)HaidutはGeorgi Dinkovのペンネームです。