生体エネルギー学の臨床(12)  アスピリンについて

古代ギリシャ・ローマの時代から、柳の樹皮に解熱作用のあることは知られていた。19世紀にはサリチル酸が分離され、解熱鎮痛剤として使用された。1897年、バイエル社サリチル酸をアセチル化することで胃腸障害の少ないアセチルサリチル酸アスピリン)を合成した。アスピリンはシクロオキシナーゼ(COX)をアセチル化により阻害し、プロスタグランジン産生を抑制して抗炎症作用・解熱作用を、トロンボキサンの産生を抑制して抗血小板作用を発現する。

アスピリンは11b-HSD1を抑制しコルチゾール合成を減らす。アスピリンはアロマターゼインヒビターでエストロゲン合成を減らし、テストステロンを増やす。アスピリンは腸からのトリプトファン吸収を阻害し、セロトニン合成を減らす。アスピリンチロシンキナーゼを活性化し、ドーパミン合成を増やす。さらに、アスピリングルタミン酸アンタゴニストでグリシンを低下させる。

アスピリンはBBOXインヒビターでカルニチン合成を阻害し、脂肪酸酸化を抑制する。アスピリンは脂肪合成酵素の発現を抑制し、脂肪酸合成を抑制する。アスピリンはチトクロームCオキシダーゼの発現を増やす。アスピリンミトコンドリアのアンカップリングを増やす。アスピリンは脂肪細胞の脂肪分解を抑制する。アスピリンセラミド合成を抑制する。アスピリンは脂肪代謝の改善によりインスリン感受性を高める。

アスピリンはNFkBを抑制し、老化と炎症で増加するミトコンドリアの分裂(フラグメンテーション)を減らす。

他にも、アスピリンは線維化を予防する。アスピリンは抗菌、抗真菌効果がある。アスピリンバイアグラと同等のED治療効果がある。アスピリンは骨折を減らし骨密度を上げる。アスピリンアスピリンは鉄をキレートする。

アスピリンは胃腸出血と脳出血のリスクを問題視されることが多いが、心筋梗塞脳梗塞、がんのリスクを減らすなど、健康利益の方がはるかに大きい。実際、アスピリンによる胃腸出血が死亡率を増加させることはない。また、アスピリンエストロゲンを抑制し、血管の脆弱化を防ぐことで、脳動脈瘤の成長を遅らせ出血リスクを減らす。アスピリンの胃腸出血はピロリ菌感染が原因である場合が多い。アスピリンによる粘膜傷害に重曹グリシン、カフェイン、テアニン、Mg、ビタミンB6が有効である。ビタミンKも出血リスクを減らす。また、ピロリ菌にココナッツオイルが有効である。

アスピリンは全てのがんの発症を予防し、死亡率を低下させる。容量が多いほど有効である。特に、乳がん前立腺がん、大腸がんに有効である。アスピリンは寿命を延ばす。

その他、片頭痛、うつ、統合失調症、MS、PD、ハンチントン、AD、肥満、糖尿病、心疾患、脳梗塞、子癇前症、早産、先天性欠損症、B型肝炎C型肝炎、肝硬変、胆石、慢性膵炎、肺気腫HIV感染症、炎症性疾患、腎臓病、敗血症、がん、悪液質を治療する。

 

注)参考文献を確認したい方は、Ray Peat Forum(https://raypeatforum.com/community/)でキーワード検索してください。(例えば、Haidut, aspirin, GI bleeding)HaidutはGeorgi Dinkovのペンネームです。