PUFAはコルチゾール合成を促進し、免疫能を低下させ、がん発症リスクを増加する。SFAはPUFAに拮抗し、コルチゾール合成を抑制する。ビタミンE、A、DはPUFA効果を抑制し免疫能を上げる。ビタミンEはPUFAを飽和化する。また、PUFAの過酸化脂質であるマロンジアルデヒド(MDA)や4ヒドロキシノネナール(4HNE)は発がん性がある。
PUFAはPDHを抑制し、糖酸化を減らし、脂肪酸酸化を増やす。SFA(特にパルミチン酸)はPDHを促進し、糖酸化を増やし、脂肪酸酸化を抑制する。注)PDH(ピルビン酸脱水素酵素):ミトコンドリア内にあり、ピルビン酸をアセチル-CoAに変換する酵素。
PUFAは酸化的リン酸化能を低下させ、ミトコンドリア生合成を減らす。カルジオリピンの構成成分にPUFAが増えると酸化的リン酸化が低下する。PUFAは代謝を低下させ、体温を低下し、冬眠を可能にするが、寿命を短くする。SFAはアンカップラー(脱共益剤)であるが、PUFAはアンカップリングを抑制して肥満を促進する。注)カルジオリピン:ミトコンドリア内膜にあり、酸化的リン酸化を主に調節する固有リン脂質。注)アンカップリング:ミトコンドリアでATP産生することなく熱を発生。
SFAもPUFAもランドルサイクルにより一時的なインスリン抵抗性を生じるが、SFAにはPUFAに見られる負の効果(チトクロームCオキシダーゼ阻害、ミトコンドリア生合成阻害、ステロイド合成阻害、免疫能低下)を認めない。
PUFAがなければ炎症は生じない。アラキドン酸は炎症反応の90%に関連する。PUFAによるロイコトリエンの増加は炎症を増大し、がんと老化を促進する。また、PUFAはCVDリスクを増やすが、SFAは低下させる。EPA/DHAでCVDは減らない。SFAとコレステロールはPUFAに由来する炎症性メディエーターの産生をブロックする。
PUFAは総カロリーの0.5%で十分である。
PUFAの拮抗剤:SFA、ビタミンE、A、D、K2、COX(シクロオキシゲナーゼ)/LOXインヒビター、アスピリン、プロゲステロン、アンドロゲン、T3/T4、Mg、フラボン/フラバノン、オレンジジュース、グリシン/ゼラチンなど。
LOX(リポキシゲナーゼ)インヒビター:ビタミンE、ミノマイシン、ケトチフェン、シプロヘプタジンなど。(つづく)
注)参考文献を確認したい方は、Ray Peat Forum(https://raypeatforum.com/community/)でキーワード検索してください。(例えば、Haidut, PUFA, Diabetes)HaidutはGeorgi Dinkovのペンネームです。