がんとは何か?

1971年、ニクソン大統領のがん撲滅宣言以来50年が経過するが、莫大な研究費用にもかかわらず、他疾患と比較してがんの生存率の改善は微々たるものである。

「がんはランダムで多数の遺伝子突然変異が重なることによる遺伝子異常による」とする体細胞突然変異説(SMT)ががん研究を支配してきたが、遺伝子標的治療により利益が得られたのはがん患者のわずか5%でしかない。一卵性双生児や移民の研究から明らかな様に、がんリスクにおける遺伝子の関与はせいぜい30%程度であり、70%は生活環境に依存する。SMTではこのエピジェネティクスを説明できない。

「がんは全ての多細胞生物の細胞内に存在する」とするポール・デイヴィス博士の発見は、がんの新しいパラダイムへの端緒となった。がん細胞と単細胞生物の行動様式は極めて似ており、生存と繁殖のための「競争」に基づく。多細胞生物の正常細胞が何らかの亜致死的で慢性的な損傷を受けると、多細胞生物に特有な行動様式である「協力」に関わる遺伝子が破壊され、内在する単細胞生物の遺伝子があらわになり、細胞は「競争」に基づく行動様式へ変わり、がん細胞となる。この先祖返り説は、歴史上の全てのがんの表現型が同じで、がんの特徴である成長・不死・移動・ワーバーグ効果を必ず備えることを説明する。

老化により弱体化した免疫系を強化することでがんと戦う免疫療法は、新しいがんの進化モデルに矛盾せず、とても有望である。免疫チェックポイント阻害薬やキメラ抗原受容体T細胞療法(CAR-T)の臨床応用が進んでいる。

がん治療における食事の主な役割はがんの成長を抑制することであり、特にインスリンが重要で、高インスリン血症状態である肥満や2型糖尿病を避けることが重要となる。

詳しくはFB特集記事「がんとは何か?」をご覧ください。

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