一方、50年以上に渡る研究により、超悪玉コレステロール (small dense LDL-Cholesterol:sdLDL-C)は冠疾患の主な独立した危険因子であることが示されている。ARIC試験では、LDL-C<100mg/dLの人でもsdLDL-C>50mg/dLなら冠疾患リスクが高いことが示された。sdLDL-Cは4分位で段階的に冠疾患リスクが増加するが、lbLDL-Cの4分位では認めなかった。(ARIC study, Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 2014)最近の研究で、sdLDL-C径と中性脂肪(TG)には明らかに有意な負の相関関係を示した。(Superko H, Biomedicines. 2022 )
sdLDL-Cの量は一般血液検査では不明であるが、TG、特にTG/HDL-C比で推測可能である。HDL-C>50mg/dLでTG<70mg/dLでTG/HDL比<2であるなら、LDL-Cが高くてもsdLDL-Cは少なく、冠疾患リスクは低い。また、sdLDL-Cの低下には、減量、低炭水化物食、運動、ナイアシン、ω3魚油が有効である。
つまり、LDL-Cが高いと悩む前に、メタボリック症候群の改善を優先させるのが得策である。