ブテイコ呼吸法のすすめ(2)

ブテイコ呼吸法は次の三つからなります。

鼻呼吸、②少量呼吸法、③リラクセーション

 

鼻呼吸:寝ている時も起きている時も常に鼻呼吸を原則とします。空気抵抗の少ない口呼吸は過換気の原因となりやすいからです。加温・加湿・除菌された空気の出入りは気道を保護するとともに、NOの分泌を高めて気管支を拡張させ、組織の酸素化を改善します。夜間睡眠時の口テープを推奨します。

 

少量呼吸法:呼吸回数と呼吸量を持続的に減らし、わずかに息苦しさを感じるまで自主的に呼吸量を減らし慣らす練習をします。軽い息止め(CP)と最大息止め(MP)を計測して、呼吸法上達の目安とします。CPでは、穏やかな呼気の後に息止めを始め、最初の呼吸欲求が起きるまで、または無意識の動きが起きるまで続けます。MPでは、穏やかな呼気の後に息止めを始め、可能な限り長く続けます。多くの人でMPはCPのおよそ倍になります。練習継続により、楽に息止めが出来る様になり、呼吸器症状が改善します。

 

ラクセーション:腹筋の緊張を高めて肩と胸の筋肉を緩めることを組み合わせて呼吸量を減らします。呼吸筋をリラックスさせることで、横隔膜の機能を改善します。喘息発作時の過呼吸をコントロールすることで負のスパイラルを予防します。

ブテイコ呼吸法の練習により、脳の呼吸中枢をリセットし、二酸化炭素に対する感度を鈍らせることで、CPは徐々に延長される様になります。CPを40-60秒まで(MPを80-120秒)伸ばすことを目指します。

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2020年のコクランレビューにおいて、「ブテイコ呼吸法とヨガを含めた呼吸療法は、生活の質を高めて、過換気症状や肺の機能を改善する可能性がある」ことが認められました。何の害もなく、いつでもどこでも実践可能であるなら、ブテイコ呼吸法を試してみる価値は十分にあると思います。呼吸器疾患や心血管疾患だけでなく、糖尿病、肥満などの代謝性疾患にも有効性が報告されています。肥満やメタボリック症候群の方は、まず鼻呼吸から始めてみることをおすすめします。