脂肪細胞がインスリン抵抗性を引き起こす

f:id:muramo10:20200125092043j:plain


2015年にRoy TaylorはPersonal Fat Threshold(PFT)という概念を発表した。人それぞれ遺伝的に皮下脂肪の許容量が決まっていて、それを超えると内臓周囲や肝臓や膵臓や筋肉に異所性脂肪が蓄積するようになり、インスリン抵抗性が増して糖尿病を発症するとするものである。日本人はアメリカ人に比べてPFTが低いため、痩せた2型糖尿病患者が多いのであろう。
インスリン抵抗性はミトコンドリアの生合成や機能低下と密接に関わる。そこに需要とマッチしない過剰な栄養燃料(糖と脂肪酸)が供給されると、ミトコンドリアは糖の酸化を優先し、脂肪酸の酸化を止める。脂肪酸は細胞質で中性脂肪に変換され脂肪組織に貯蔵される。また、ミトコンドリアにおける燃料の渋滞は活性酸素の産生を増加し、細胞を傷害するとともにインスリン抵抗性をさらに悪化させる。
つまり、問題は過剰な栄養燃料の摂取である。中でも高炭水化物高脂肪食が一番問題である。カロリー(特に炭水化物)を制限し、PFT以下まで脂肪量を減らすことが出来れば、難渋する痩せ2型糖尿病寛解する可能性がある。