高尿酸血症に対する臨床対応

尿酸値が7 -7.9 mg/dLの無症候な健康な男性を15年間観察したところ1年間の痛風発作の発症確率は0.5%であり、多くの高尿酸血症患者は無症候であった。(Campion EW, Am J Med. 1987)

最近のシステマティックレビューでは、男性で13 mg/dL女性で10 mg/dL以上、尿酸尿排泄量が1100mg/日を超える、放射線治療や化学療法開始前、の3つ場合でULTは推奨されている。(Brucato A, Eur J Intern Med. 2020)

無症候な高尿酸血症に対して、まずはライフスタイルの変更が第1選択となる。砂糖(果糖)、酒、高プリン食(肉、魚など)を避ける。尿酸値を低下させるビタミンC、葉酸、乳酸菌、果物(チェリーなど)の摂取を増やす。体重を減らし、定期的に運動し、睡眠の質を高める。それでも改善が得られず症候性であるなら薬物治療を選択する。

キサンチンオキシダーゼ(XO)阻害薬はプリン代謝におけるROS産生を抑制し、ULTの第一選択薬である。尿酸排泄促進薬は第2選択薬で、難治性高尿酸血症には併用されることもある。(Richette P, Ann Rheum Dis. 2017)

フェブキソスタットはアロプリノールと比較した1施設の臨床試験で、心血管疾患死と全ての原因による死亡を増加させたため、2017年FDAは注意勧告を出した。(White W.B., N. Engl. J. Med. 2018)しかし、最近の16試験のメタアナリシスでは心血管死と全ての原因による死亡に差はなく、フェブキソスタットとアロプリノールの安全性は同等であるとした。(Gao L., Clin. Cardiol. 2021)

ベンズブロマロンは肝機能障害によりヨーロッパ市場から消えたが、日本を含め使用を続けている国は少なくない。尿酸排泄促進薬はeGFR<50 mL/minの場合は禁忌でCKDでの使用は限られる。

他に、エストロゲン、ロサルタン、フェノフィブラート、SGLi2は尿酸輸送体やXOを調節することで尿酸値を低下させる。

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