がんの原因はミトコンドリアの欠陥

がんは細胞核の遺伝子の突然変異により起きると考えられているが、核と細胞質の移植実験の結果は矛盾する。1956年、ドイツのワーバーグ博士は「がんはミトコンドリアの酸素呼吸が傷害され、好気性発酵によりエネルギーを産生する」ことを見出した。この好気性発酵は活性酸素を生じ、遺伝子の突然変異とがん化の原因となる。つまり、がんはミトコンドリア傷害が原因であり、遺伝子異常はその結果生じたものと考えられる。
実際、遺伝子変異に基づく現在のがん治療(手術・化学療法・放射線療法)で、がんの死亡者数は減っていない。がん細胞のみならず正常細胞も傷つけるため、生存してもその副作用で苦しむ人が多い。
ミトコンドリア代謝説に基づく代謝療法では、がん細胞がブドウ糖とグルタミンに依存していることを標的にするものであり、ケトジェニック・ダイエットがベースとなる。身体全体のブドウ糖の利用を減らし、腫瘍細胞が利用できないケトンを増やす。ケトンは腫瘍の血管新生を抑制し、炎症を抑制し、アポトーシスを促進するとともに、正常細胞の代謝を活性化する。解糖系阻害薬、グルタミン代謝阻害薬などによる薬物療法や、放射線治療に変わる高圧酸素療法の治験が現在進行中である。
ミトコンドリアが健全であればがんにはならない。そのためにも、日頃からエネルギー過多を避け、糖質を制限した食事を心がけるのが良い。