開業医だからできること

開業した当初、患者もまばらですることがありませんでした。時間だけは豊富にあったので、手当たり次第に本を読みました。その中に江部康二先生の糖質制限の本がありました。「炭水化物、タンパク質、脂肪の中で血糖を上げるのは炭水化物のみ。こんな当たり前なことすら知らない医者がいる。」この書き出しを読んで、思わず赤面したことを今もはっきりと覚えています。自分が正にその一人でした。あわてて、江部先生のブログを7年分完読したら、糖質制限治療への疑念は吹き飛び、すっかり信者へと変わっていました。同時に、ガイドライン治療を盲信する姿勢を改め、自ら病気の根本原因に目を向けるようになりました。
以来、自身で丸4年糖質制限を実践するとともに、糖質制限による糖尿病治療外来を続けています。もっともっと詳しく知りたくて、海外の文献も読むようになり、さらに糖尿病の理解が進んだと思います。カロリー制限と薬物治療による血糖コントロールにしか目を向けなかった頃を振り返り、わずか4年なのですが隔世の感を禁じ得ません。これって、開業医だからこそできた転身だと思います。肩書もしがらみもないので、間違いを修正することにためらいはないし、周りの目を気にする必要もありません。正しいと信じた道を、躊躇することなく選択することができるからです。
現在は、肥満や糖尿病に対しての糖質制限治療を超えて、一歩先の栄養ケトーシスにより、多くの慢性疾患(脂質異常症、心疾患、神経変性疾患、癌、過敏性腸症候群、自己免疫疾患、精神疾患など)の治療や運動能力の向上の役に立ちたいと夢見ています。
写真は過去2年に読んだ本です。今年に入ってからはkindleで電子本を読んでいます。開業して、本当に良く勉強する医者になりました(笑)。