エビデンスに基づく医療って言うけど・・

 エビデンスに基づく医療(EBM)とは、臨床論文を根拠に治療を選択する医療を言います。大学病院を含めた全ての病院で診療の礎とする方針です。
臨床試験が大規模になるほど、巨額な予算がかかるため、ほとんどの場合、製薬会社がスポンサーとなります。研究者には利益相反が必ず生じるので、商品(薬剤)を否定する論文が発表されることはありません。つまり、企業がスポンサーである臨床試験に真実はあり得ないのです。
しかし、残念なことには、大学も学会も、公明正大なはずの医学雑誌まで、スポンサーなしには成立しない世の中なのです。NEJM誌の副編集長を20年務めたマルシア・エンジェルは、2008年のJAMA誌で「医者はもはや、正当な信頼できる情報を医学論文に頼ることができない」と嘆いています。
日常臨床で最も問題なのは、診療ガイドラインがこのような論文に基づき改定を繰り返していることです。ほとんどの医師は診療ガイドラインを絶対と信じ、自分で考えようとはしません。僕も開業医になるまでの約20年間、アメリカ心臓協会(AHA)を盲信していました。現在は、スポンサーの関与、論文執筆者の研究歴とCOIを確認してから、論文を吟味する様になりました。
砂糖まみれのシリアルが、心臓に良いはずありません。