大食するから肥るのではなく、肥るから大食する

 慢性的にインスリンが高いと、脂肪細胞から分泌された満腹ホルモン(レプチン)のシグナルを抑制するため、満腹中枢である視床下部腹部内側核は飢餓状態と感じるようになります。これが交感神経系の活動を減らし(怠け)、迷走神経活動を増やします(大食)。同様に中脳の腹側被蓋野に対するレプチンシグナルも抑制することにより、報酬感を高め大食に至らしめます。また、ストレスによる扁桃体の慢性的な活性化によりコルチゾールが上昇すると、インスリン抵抗性が悪化し、インスリンがさらに増え、体重が増加します。脳の3つ経路(飢餓、報酬、ストレス)が同時に働くことで、私たちは肥満やメタボリックシンドロームを避けることができなくなります。この大脳辺縁系のトライアングルは、バミューダトライアングルと同様に、一度入り込んだら出られません。
肥満は脳のホルモン異常の結果なのです。大食して怠けるから肥るのではなく、肥った結果、大食して怠けるのです。この要となるのがインスリンです。体重に関わらず、多くの人のインスリンは、同じ量の糖に対して、30年前より倍分泌されています。人類史上、私たちは最も高インスリン血症になっています。写真は1歳で20kgの赤ちゃんです。肥っているのは意志が弱いからでしょうか?詳細はフェイスブック・ノートの「Why We Get Fat 私たちはなぜ肥るのか(ゲーリー・トーベス)」を参照してください。